西野が本を書いた。どんな本かと思い手に取ったら、まさかのビジネス書であった。西野が描いた「えんとつ町のプペル」という絵本を通じて、ビジネス界へ一石を投じている。
絵本と言うファンタジーの世界から程遠い、現実的で策略的な面が赤裸々に綴られており、売上市場主義という ある種クリエイターにとっては残酷であり、無慈悲な数字の羅列に対し真っ向から勝負する著者の姿勢には驚かされた。
そして、かの天才ピカソは絵を描く以上に商売がうまかったと言われている。しかし、ゴッホにはそれが出来なかった。もし、ゴッホが本書を読んでいれば、歴史は大きく変わっていたに違いない。
未来ゴッホ達よ、本書を手に取れ。聞こえてくるのは『革命のファンファーレ』だ。
引用:テレビ東京系列『ゴッドタン』劇団ひとりの読書感想文より。
はい、いきなり尊大な感じで始まってしまいましたね。
申し遅れました。
冒頭の引用は書いてある通り、『ゴッドタン』という番組で劇団ひとりさんが革命のファンファーレというほんを読んで、その著者であるキングコング西野さんに対して書いた読書感想文です。
元々気にはなってたんですけどなかなか購入に踏み切れなくて、でもこの読書感想文を見たときに「面白そう!やっぱ読みたい!」ってなったんで購入に踏み切りました。
結果、買って良かった!
「はじめに」から読んでてワクワクさせてくれました。
ちなみに、西野さんがアメブロで革命のファンファーレの「はじめに」を無料公開してくれています。
ね?これだけでもワクワクしませんか?
と、いう事で、ちょっと革命のファンファーレをご紹介していこうと思います。
目次
『革命のファンファーレ』はこんな本
西野さんが作った『えんとつ町のプペル』という絵本は、2016年10月に発売されてその年の年末には10万部を超えるメガヒットになりました。
2018年時点で、累計発行部数は38万部を超えています。
で、実は、絵本業界って「5,000部売れたらヒット」って言われてる業界なんですって。
って、事はよ。10万部とか、38万部とか、驚異的なメガヒットって事じゃない?
もちろん、「有名芸能人が作った絵本」って要素は全くの0じゃないかもしれませんよ。
でもね、この売れ方は「芸能人」とかの要素だけでどうにかなるもんじゃ無いって思うんです。
実際、西野さんは「狙って当てにいった」と言っています。
革命のファンファーレは、そんな『えんとつ町のプペル』販売戦略の裏側を全て見せてくれる内容でした。
クラウドファンディングは信用をお金に変える装置
先日、とある番組のクラウドファンディングの特集で取材に来られたディレクターさんが「なんで、西野さんはクラウドファンディングで高額が集まるんですか?」と訊いてこられたので、「信用があるからじゃないですか?」とお返ししたら、「そんなに好感度が低いのに?(笑)」と帰ってきた。
アホをこじらせて来春まで寝込めばいい。
『好感度』と『信用』、『認知』と『人気』は、それぞれ全く別物だ。
西野さんはえんとつ町のプペルを作るにあたって、クラウドファンディングでお金を集めました。
その支援総額5,650万4,552円。
支援者数は9,550人。
ちなみに、この支援者数は当時の日本のクラウドファンディングで歴代最高記録だったそうです。
なんて声も聞こえてきそうですが、じつはそうじゃないんですね。
クラウドファンディングでお金を集める為に必要なのは『好感度』じゃなくて『信用度』
そして、その『信用度』こそが、芸能人をクラウドファンディングで不利にしている原因だ!って話なんです。
- それは一体ナゼなのか?
- 『好感度』と『信用』の違い・『人気』と『認知』の違いは何か?
- ナゼ西野さんはクラウドファンディングで支援者が集まるのか?
みたいな話を、「ベッキーと川谷絵音」や他の芸能人とかに当てはめて、わかりやすく教えてくれています。
しかも、実は後々分かってくるんですが、このクラウドファンディングにも『えんとつ街のプペル』を売る為の意外な仕掛けが施されているんですね〜。
もうね、『えんとつ町のプペルは』売るために仕掛けだらけやで!
ネタバレを恐れるな!人は確認作業でしか動かない
2017年1月19日。
『えんとつ町のプペル』の発売から、まもなく3ヶ月が経とうとしていたその日。僕は、『お金の奴隷解放宣言』と題して、インターネット上で『えんとつ町のプペル』の全ページを無料公開した。
直後、日本中から非難の声が上がった。
「作品を無料で提供すると、クリエイターにお金が落ちなくなる」
「業界が疲弊する!」
といった批判の声が数万件、僕のもとに届いた。
〜 中略 〜
先に結果を言ってしまうと、この無料公開により、『えんとつ町のプペル』の売り上げは上がり、アマゾンの総合売り上げランキングで再び1位に返り咲き、23〜24万部で落ち着きかけていた発行部数は一気に31万部まで伸びた。
普通、せっかく作った物を無料で公開するってなかなか出来ないですよね?
でも、西野さん曰く人はある程度実力の知れた物を『確認する』作業でしか動かない。って言ってるんです。
例えば、あなたが映画を見に行くなら、『どこの誰が作ったかわからない、誰も見た事無い映画』と、『スピルバーグ監督作品で、全米興行収入No.1の、CMで何となく内容を知っている映画』だったら、どっちを見に行きますか?
『その辺で見つけた、今日オープンしたばかりのラーメン屋』と『雑誌で話題、毎日大行列の人気ラーメン屋』なら、どちらのラーメンが食べたいですか?
普通はどっちも『後者』ですよね?
つまり、人間って意外と冒険しないいきもになんだって事なんです。
もちろん、紹介する物が何かによってネタバレさせ方は変わるんですけど、この『ネタバレを恐れない』という考え方。パパまんまには凄く大事な考え方でした。
パパまんま、最近自分で読んで面白かった本とか、マンガとかをこんな風に紹介していこうと思っている訳ですよ。
で、今までブログとかじゃなくても、人に本とかマンガとか勧める時、極力ネタバレしない様に勧めてきてたの。
でも、やっぱりそれじゃ魅力ってあんまり伝わん無いんですよね。
「いや、とにかく面白いねん!絶対見たほうが良いで!」だけじゃ、感動は伝わりませんから。
逆に、映画でも本でもなんでも紹介が上手い人って、上手にちゃんとネタバレさせるんですよね。
だから「面白そう!」って思うワケ。
常識を壊す!フリーミアム戦略
なぜ、絵本を無料公開したら、売り上げが伸びるのか?
理由は「インターネットが物理的制約を破壊したから」に尽きる。
『えんとつ町のプペル』で僕がとったのは「フリーミアム戦略」だ。
「フリーミアム」というのは、ウィキペディア先生によると、「基本的なサービスや製品は無料で提供し、更に高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組みのビジネスモデルである」とのこと。
西野さん『えんとつ町のプペル』を無料公開に踏み切る訳なんですが、ちゃんと無料公開の方法にも工夫を凝らしているんです。
それがフリーミアム戦略。
色々な業界で使われていますよね。
ただ、フリーミアム戦略って言っても、ただむやみやたらに『一部無料、こっから有料』ってやれば良い訳じゃありません。
西野さんがwebに『えんとつ町のプペル』を無料公開したのは『全ページ』です。
一部だけ無料で見せて「続きが木になるならお金払ってね」じゃ無いんですよ。
絵本の本質はどこか?
絵本の価値はなにか?
それをしっかりと考えたフリーミアム戦略を展開されています。
売れる商品は売れるべくして売れている
『えんとつ町のプペル』を個人で1万冊買ってみた。理由は3つだ。
まず一つ目。
とにもかくにも一人でも多くの人に『えんとつ町のプペル』を届けようと考えて、出来るだけ早くから予約注文をとろうと動いてみたところ、アマゾンが最速で、発売3カ月前から予約を受け付けてくれるのだという。
ちなみに、発売直後に本屋さんに平積みされるとして、2~3週間もすれば棚差し。棚差しになると、途端に、手に取られる確率が下がる。
つまり、本というものは4ヶ月以内に売らないといけないわけだ。
こんなバカな話があるだろうか?
西野さんが少しでも多くの人に『えんとつ町のプペル』を届ける為、『個人で一万冊買う』という戦略のお話は、自分でビジネスをする人だけじゃ無くて会社員の方にも参考になる話だと思います。
西野さんが取った戦略をざっくり説明すると
- Amazonの予約開始前に個人で予約受付サイトを立ち上げる。
- そこで得た予約数を基に、出版社から提示された初版数を大幅に増刷させる。
- 個人で立ち上げた予約サイトに配る為に個人で本を購入。その領収書をSNSに掲載。
西野さんは『えんとつ町のプペル』販売開始前に【魔法のコンパス】というビジネス書を販売して、そこで失敗を経験したそうです。
魔法のコンパス販売前の予約の動きを見て出版社に重版希望を出した所、出版社側が慎重になってしまった為機会ロスを生み出してしまいました。
そこで、えんとつ町のプペルでは同じミスをしない様に、世間一般での予約が開始する以前から自分で予約を取っておき、出版社との重版交渉に利用したんです。
そして、個人で1万冊の『えんとつ町のプペル』を購入し、その購入証明になる領収証をSNSでシェア。
そうする事で、一般の人やテレビなんかが騒ぎ立てるから、勝手に宣伝されていく訳ですね。
この一連の西野さんの行動、社会人なら誰しも見習うべき行動なんじゃないかなって思う訳ですよ。
相手との交渉を行う際に、既に信頼関係のある人が交渉相手なら話は別ですけど、そうじゃない場合はどんなにいいプレゼンをしてもそれは口約束に過ぎません。
大事なのは相手を納得させる証拠な訳ですよね。
それを理解して、相手を納得させるためには何が必要かをしっかりと考え、どうすればその必要な物を揃えられるかを見つけ出して行動する。
それだけの努力を惜しまずやるから、物は売れるんです。
商品を売る為の最大限の努力をする。その姿勢は本当に見習うべきポイントだと思います。
1日を100時間にする為の戦略
私事だが、ウォルト・ディズニーを倒そうと思っている。
~ 中略 ~
ただ、やはり相手は強大で、彼の表現は現代の天才達に受け継がれ、更に、猛スピードで拡大を続けている。
当然だが、僕の1日24時間をフル活用しても追いつける相手ではない。
~ 中略 ~
1日=40時間、1日=100時間・・・・・・・・・と増やしていかなければならない。
1日100時間に増やす。それだけ聞くと「何言っちゃってんの?コイツ」と思われてしまうかもしれません。
西野さんの言う「1日を100時間に」とは、簡単に言うと宣伝戦略の事なんです。
自分の体は一つしか無いから出来る事は限られている。
そこで、西野さんが取った行動が『他人の時間をいただく』という選択でした。
西野さんが個人で『えんとつ町のプペル』を1万冊買ったお話の中で、『領収証をSNSに載せる』という話がありましたよね?
実は、その領収証、その後ワイドショーで取り上げられたそうなんです。
すると、西野さん本人はそのワイドショーの現場に居なくても、西野さんの顔写真・コメント・えんとつ町のプペルの情報などを、勝手にワイドショーが放送してくれます。
お金をかける事無く、自分の時間を使う事無く、全国的に宣伝が出来た訳ですね。
他にも、『えんとつ町のプペル』がハロウィンの話であるというところから、ハロウィンのゴミ掃除をえんとつ町のプペルに出てくるキャラクターの恰好で行ったり、光る広告をスタッフに背負ってもらって移動に見せて街頭宣伝を行ったり。
色々な宣伝の為の仕掛けや、他人の時間を使う戦略などが盛り込まれていました。
どんな部分にも手を抜かず、有効に活用しようとする姿勢は本当に勉強になりますね。
革命のファンファーレを読んで、宣伝戦略の重要性を改めて感じました。
革命のファンファーレを読んだ感想
西野さんが『えんとつ町のプペル』という絵本を出す。という話を聞いた時、西野さん自身の世間のイメージ(好感度の低さ)もあって、正直僕自身も
くらいに思っていました。
正直に言えば
と少し小バカにしていた部分もありました。
でも、そんな『えんとつ町のプペル』にこれだけの戦略があったと知った今では、到底バカにする気になれません。
この本、いや、マジで面白いしタメになるし、読みやすいから読んでみ!!
と、いう事で、以上!
最後までお読み頂きありがとうございました。